イタリア・トスカーナの休日(その4)

サンタンティモ修道院

厳かな空間に修道士の歌うグレゴリオ聖歌が響く

この旅の大きな目的の一つがこのサンタンティアモ修道院でした。特に信仰心があるわけではありませんが、オルチャ渓谷の人里離れた場所ににある1,200年もの歴史を持つ修道院で修道士が歌(グレゴリオ聖歌)で祈りを捧げるミサの記事を読んだ際に、是非、見てみたいと思ったのです。「特に後陣から光の射し込む朝に行くべし」の情報に従い、6時起きをしてモンテプルチャーノから約1時間、山道をかっ飛ばし参列しました。ロマネスク建築の傑作と言われる教会に足を踏み入れると、まさに後陣の高窓から光の束が祭壇に降り注ぎ、一瞬にして身が引き締まる気がしました。まもなくミサが始まり、「祈ることは歌うこと」厳かな空間に響く清心な高音ボイスに、二度とは会えない人、戻らない時間への惜別、悔恨、懐古、感謝、さまざまな感情がボタフメイロからの煙と相まって後陣から射し込む光束の中で昇華していくような気さえしました。

*残念ながら現在はラテン語でグレゴリオ聖歌を歌える人材の不足?で歌うミサは行われていないようです。

オルチャ渓谷

一般の旅行客にとっての最寄りの街モンタルチーノですが、サンタンティアモ修道院に向かうドライブは世界遺産、オルチャ渓谷(Val d'Orcia)の複雑にうねる緑の丘陵地帯、 糸杉並木、黄金色に輝く秋の風景など、季節を問わず、今風(すでに古い?)に言えば「映え」の宝庫を満喫できます。